CASE 2 ミサトの夢。

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『もしもし?久しぶりだね。俺、わかる?』 初めて聞く電話越しの声に舞い上がって、見えもしないのにウンウン頷いた。 記憶の中よりも大人になって、低く響く声。 …何を話したのかも覚えていられない程の緊張の中… 手の中には約束の時間と場所のメモ。 『アイツも一緒に遊びに行こう』 …それが彼の言葉だった。 そう。 実は十年前…あたしは別の人が好きだった。 彼の、親友…好きだった人の隣にいた人を好きになる… 我ながら人の気持ちのうつろいやすさに呆れて、掠れた笑い声が出る。 初恋は実らない。 そんなジンクスそのままに、伝える事さえ出来ずに終わったけど… あたし達は仲良しだった。 『あの頃を思い出して遊ぼう。』 彼はそう言ったけど…あたし達はもうあの頃とは変わってきているんだ。 無邪気には過ごせない。 戸惑いながらも…あたしの頭の中は、その日の為のコーディネートでいっぱいだった。 …あの高くて諦めたワンピース…やっぱり買っちゃおうかな。 思い切って美容院にも予約を入れよう。 …その日の夢は、いつもの彼の隣にあたしがいた。 真新しいワンピースに柔らかなウェーブをかけたはにかんだ笑顔のあたしが。
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