CASE 2 ミサトの夢。

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…あれから一度も夢は観なくなった。 あたしの憧れたチャペルで…今日、彼は結婚する。 …あたしではない彼女と。 「…いーのかよ、言わないままで?」 いつの間にか隣に立っていた、昔好きだった彼が…小さく問いかけた。 「…知ってたの?」 「見てりゃわかるよ。」 …そっか。 ため息を返事がわりに、笑いかけた。 「いーんだよ、これで。」 …思っていたより、ショックは受けてない自分がいる。 不思議な夢。 なんだかこの為に見続けてた気がするんだ。 接点のまったくない二人を結び付ける為に。 つらくないって言ったら嘘になる。 でも…彼の笑顔が夢の通り幸せそうだから。 これでいーんだよ、きっと。 「いーんだ。もっといー男見つけるし。あたしの魅力をわからない男なんてこっちからお断り!」 …願わくばこんな強がりが胸を痛ませずに早く言えるよーになりますように。 祝儀用ネクタイを緩ませながら彼があたしの肩を抱いた。 「どう?パターン通り余りモノ同士でくっついてみる?」 …それも悪くないかもな。 こっそりそう思いながらも舌を出して彼の手から抜け出した。 …今度の恋は現実の男の子としよう。 手を触れられる距離で。
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