CASE 3 サキの未練。

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「ママ!あっち!」 最大級に手がかかる、愛しいオトコがあたしを呼んだ。 日だまりみたいな笑顔にまた騙される。 「寝てる時が一番カワイイよねぇ。」 もう十年来の付き合いになるエミチャンが、小さなやんちゃ娘を抱えながらため息まじりに笑った。 …そう。 あの頃はエミチャンの第一子が、まだ息子と変わらない年齢で… 今はその娘が息子のお守りをしてくれる年齢になった。 十年。 充分に長い時間。 結婚して、出産もして…あたしも変わった。 なのに何故…色褪せない気持ちがここにあるの? あたしは充分幸せなのに。
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