CASE 1 カナミと携帯。

2/4
前へ
/25ページ
次へ
…今日もう何度目かわからない携帯チェックをした。 やっぱり彼からのコールはない。 あんな事言うつもりはなかったのに。 ちょっとした意地だったんだ。 本当なら今頃、お酒でも飲んで彼の暖かい胸で眠れるはずだったのに…無機質な着信音。 少し眉を寄せて、固い口調で話し出す彼。 「仕事が…」 …聞き慣れた言い訳で繰り返されるキャンセル。 楽しみにしていた分…哀しくて言っちゃいけないセリフを吐いた。 メール問い合わせ。 …妙に冷たく感じる『受信メールはありません』の文字。 がしゃん。 イラついて携帯を乱暴に放り出した。こんなモノなくなっちゃえばいい。 携帯さえ鳴り出さなければ、彼の時間はあたしのモノだったのに。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

409人が本棚に入れています
本棚に追加