CASE 1 カナミと携帯。

3/4
前へ
/25ページ
次へ
あたしの小さな手の平におさまる、彼との頼りない絆。 そして彼との距離を引き離す、小憎らしい機械。 今はただ静かに、何かを待ってる。 もう一度拾いあげて…アドレス000を出してみた。 …彼の名前。 でも…発信ボタンが押せない。 メール作成画面に切り替えて『さっきはごめんね』と打ち込んでみたけど…続く言葉が見つからない。 ただ好きなだけなのに、なぜそれを伝える言葉が紡げないの? 憎まれ口ばかりで優しい言葉がかけられない。 …ため息をついて携帯をとじた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

409人が本棚に入れています
本棚に追加