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七色の光とともに、低く響く歌声が聞こえた。
あたしの大好きな曲。
彼専用の着信音。
慌てて携帯を開いた。
一つ、深呼吸してボタンを押す。
…どうか優しい言葉を紡げますように。
「…もしもし?」
『…』
「…何?」
無言が怖くて、語尾がきつくなる。
違うよ。
そんな態度がとりたいんじゃない。
『…オマエが何か言いたい事があるんじゃねぇかと思って。』
…あるに決まってる。でも、言えない。
『…嘘。ただ俺がオマエの声が聞きたかった。明日時間作るから、今日のデートはやり直そう。ごめんな。』
…すべてが溶け出して行く。
「あたしこそごめんね。大好き。」
暖かい言葉が自然に滑り出して行く。
…あたしの気持ちも電波に乗って、彼に届け。
今夜は携帯を抱きしめて眠ろう。
彼の言葉を子守唄にして。
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