CASE 1 カナミと携帯。

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七色の光とともに、低く響く歌声が聞こえた。 あたしの大好きな曲。 彼専用の着信音。 慌てて携帯を開いた。 一つ、深呼吸してボタンを押す。 …どうか優しい言葉を紡げますように。 「…もしもし?」 『…』 「…何?」 無言が怖くて、語尾がきつくなる。 違うよ。 そんな態度がとりたいんじゃない。 『…オマエが何か言いたい事があるんじゃねぇかと思って。』 …あるに決まってる。でも、言えない。 『…嘘。ただ俺がオマエの声が聞きたかった。明日時間作るから、今日のデートはやり直そう。ごめんな。』 …すべてが溶け出して行く。 「あたしこそごめんね。大好き。」 暖かい言葉が自然に滑り出して行く。 …あたしの気持ちも電波に乗って、彼に届け。 今夜は携帯を抱きしめて眠ろう。 彼の言葉を子守唄にして。
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