時期外れの転校生-2

9/17
前へ
/184ページ
次へ
「親父、『流石』って?」 「あぁ、この人な、 名前はフランクリン・ヘッジウッド、 二つ名を『癒しの涼風』と言ってな、 20年、いや、15年前までは最高の治療魔術の使い手と言われていた人物だな。 15年程前から仕事をしてるって話を聞かなくなったが、 子育てで忙しかったって事ですかね?」 最後の方は、本人に向かって言う。 「そうなりますね。 赤子を放っておいて依頼には行けませぬし。 まぁ、蓄えもそこそこありましたから」 「『癒しの涼風』様でらっしゃいますの? 父が『腕も性格も最高だった』と申しておりましたわ。 今更ですけれども、お会いできて光栄ですわ」 「お父さん、 フランお爺ちゃんって『お医者さんギルド』のトップだった人?」 「うんにゃ。 あっちもうちのギルド(ハンターギルド)と一緒で、 トップをやってるのは、ほぼ現役引退した爺ぃ達だからな。 腕のいいヤツは、楽せず働けってこった。 今も、トップと腕前No.1とは別の人物だしな。 けど今なら、爺さんが望めばギルドトップにすぐなれんじゃねぇのか?」 「その様な物になってしまったら、アッシュと一緒にはいられなくなりますから、お断りですね」 フラン爺さんは、そう言って笑う。 「けど親父、 ギルドのトップが『ほぼ引退した爺ぃ達』って、 あのギルドマスターの何処が『ほぼ引退』?」 「ありゃ、例外。 あの爺ぃは、大分前からギルドマスターになるように先代から言われてたんだけどな、 『自分がNo.1の内は、絶対にならん!!』っつってたんだよ。 それが、何年前だったっけなぁ、20年ぐらい前か? 俺がNo.1って言われる様になって、しぶしぶなったって訳だ。 ついでにゆーと、 俺に『もうNo.1じゃなくなったんだから、マスター替われ』って、この間から言ってやがるけどなぁ、 『武器無し・魔法無しの戦闘で、俺に負けられる様になってから言いやがれ』って言ってある」
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加