LONG VACATION

出会い

取り敢えず、目の前で延々泣かれても埒が明かないので、
先ず自分に気付いてもらうことにした。

具体的に言うと、その子の頬に流れる涙を、
拭ってやるかの様に、そっと舐めた。

さすがに男の子も顔を上げて彼女に気付くと、
泣き止んで、目を見開いて、見つめてきた。

『さてさて、泣き止んだはいいけど、どーしたモンかねぇ･･････』

取り敢えず、更に近づいてみた。

そして、今度は反対側の頬の涙の跡を舐めてみた。

すると男の子は、くすぐったそうに肩を竦めた後、
恐る恐るといった感じで、手を伸ばしてきた。

なので、撫でやすい様に、頭を差し出してみると、
そーっと、そーっと撫で出した。

のは、いいのだが、
一旦止まっていた涙がまた流れ出して、彼女は大慌て。

『何てこったい！！
また泣き出しちまったよ！！
どーすりゃいーんだい！？』

けど、よく見てみると、さっき迄とは泣き方が違う。

聡い彼女は気付いてしまった。

『あぁ、この子は、こんなにも温もりに飢えていたんだ』

と。