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―それはまだ高校に入る前…やっと合格発表があり、入る高校が決まった3月のことだ。
…あの日俺は浮かれていたんだ。
『いやあ、それにしてもよかったな。ふたりとも合格出来るなんて』
明るい声で俺が言う。
『うんそうだね。これでまた一緒の学校だね』
幼なじみの由加も笑う。
『ああ…そうだな。今日はお祝いしなきゃな』
由加とまた一緒の学校に行ける、という嬉しさを誤魔化す為に俺はわざと地面の雪を蹴った。
『くすくす…あんまりはしゃいでちゃ危ないよ、奏』
すぐ後ろから由加の声が聞こえた。
『わーってる。ほら、由加もやってみろよ。面白れーって』
そう言って俺は、由加に向かって雪を蹴った。
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