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『きゃっ…ちょっと奏、止めてよもう!』
由加は怒ったような声で、けれど楽しそうに俺に抗議した。
『わりー。足が滑ってさあ』
と言いながら、俺はまたわざと由加に雪を蹴る。
『こらーっ!奏、もう許さな……―!?』
とうとう本格的に怒り出した由加が俺に向かってきた。
しかし、その声は途中で途切れ、由加の顔は青ざめていた。
どうしたんだろう、と思い由加に尋ねようとした時―
プップッ―!!
『…え?』
後ろから、大型トラックが俺めがけて突進しようとしていた。
『奏――ッ!!』
もうダメだ、そう思った時俺の身体は横に投げ出されていた。
『!?』
一瞬何が起きたのか解らなかった。
でも、トラックに轢かれる由加を見た瞬間、俺は理解した。
…由加が自分を庇ったのだと。
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