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佐藤矢麻。
さとうやま。
今回は彼女の話でもしようと思う。
身長は2メートルあまり。肉付きは程よく身の丈のわりには魅力的な体つき。
茶こけた色の髪を段を付けて伸ばし、狼のような、きれいなアーモンドのような形をした獣の目をぎらぎらさせ、この国特有の帯と紐を多様した民族衣装をきゅうくつそうに着て、
体格に不釣合いな小さな丸椅子に、腕を太ももの間に挟みながら座っていた。
彼女はこの国のもつ特殊な病にかかっている。
この地には、人はある日突然変化してしまう、という特殊な風土病があった。
その原因については諸説諸々。先祖がえりだとか外的要因から身を守るためだとか、精神的作用が原因だとか、学者たちがまじめに自分勝手な説を説いている。
だがしかし、はっきりしたことはいまだにわからないのである…。
体の変化、年齢の変化、精神の変化。
そんな病を治すために、この国には変化人間専門病院が無数に存在する。
そんな中、9歳で変化人間専門の国家資格をとり、3年前に開業した医師がここにいる。
灰花亜魅。ばいかつぐみ。
18歳。
あまりにも若すぎるその医師は、親代わりの師匠の下で英才教育をうけ、10歳に満たない年齢での医師免許の習得に周囲からはあまりよくは思われていなかった。変化人間を治療するには未熟すぎる。当たり前の反応だった。
しかしそんな周りの評価を涼しい顔をしながら受け流し、15の時には自分の診療所を開いて今に至る。
彼が彼女の担当医。
ちょっとひねくれたような卑屈な目つきをしていながら、顔の表情はゆるい笑みをうかべていた。
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