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「先生どうですか。最近は太陽の光を浴びると鱗が逆立ってきてしまって…」
矢麻は、しきりに親指の爪を噛みながら、体の不調を訴える。
亜魅からみれば見上げるほどの長身の彼女なのに、その子供じみたクセが非常にアンバランスだとよく思う。
どことなく自身なさげにおどおどしている彼女の肌の様子を軽く一瞥…ちらりと見ると、
年相応のおどけた調子で患者をからかうのである…
「なんかだんだん魚類に近くなってきたんじゃね?ほら、鱗きれいな色になってきたじゃん♪」
確かに彼女が訴える鱗は、青まじりの銀色で、光にあたってピンク色に輝いていた。
癖つきの長めの白髪を適当にしばった彼の頭が、けらけらわわうとふわふわ揺れた。
「…先生」
眉をよせて不満げにつぶやく彼女。その長身ゆえか獣目のせいか、ちょっぴり凄みが効いている。
そんな様子をこれは地なのかなんなのか、年齢に会わない落ち着きぷりで
「そう怒るな怒るな。美人が崩れてるぞ~」
などとぬかす。
「…むぅ。治療してくれる気がないんなら帰ります!!」
「ダメ。治療したい。させてくれないと帰さないしー。帰っちゃうと寂しい寂し
いっ」
「はぅあ。
このボケ!長老!頭につまったヨーグルトでも食って死んでしまえ!」
ぼこすかっ!
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