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サヤは、じっと外を眺めている。
小さい頃からサヤは、白馬に乗った王子様が、あの大きな黒い門から入ってきて、自分を迎えに来てくれることを想像していた。
今もそれは、変わらないまま想像をしている。
カチャリ。
セフィリアがお盆にスープを乗せて入ってきた。
暖かい湯気が立ち、美味しそうな匂いが辺りに漂う。
「いつか来るわよね。」
ポツリとサヤが言った。
いつも同じ質問だ。
サヤは、この時間帯になると必ず窓の側に立ち、窓から見える中庭の大きな黒い門を見つめている。
そして、ポツリとセフィリアに聞くのだ。
同じ質問を。
「はい。来ますよ。」
と、セフィリアはいつも笑顔で同じ答えを言う。
「嘘ついていいのに。」
と、サヤは少し寂しそうな瞳で、隣に来たセフィリアに言った。
「嘘つけません。」
と、セフィリアは言った。
「さあ、スープを召し上がって下さい。冷たくなったら、おいしくありませんから。」
と、セフィリアは小さなテーブルへと歩いていく。
ベッドの側にある小さなテーブルに、スープとスプーンが置かれていた。
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