第1章 “出逢い”

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 「サヤは?」  玄関に白いフワフワなコートを着込み、とても優しそうな顔つきの女性が、セフィリアに聞いている。  「サヤ様は、お先に寝られました。」 と、セフィリアは答えた。  女性は、サヤに似ている。  黒い髪、紅い唇。  女性の優しい笑顔は、サヤにも受け継がれているようだ。  どこか気品のある顔立ちや、態度はサヤにもあった。  「そう。あの子待てなかったのね。ウフッ。」 と、女性はいたずらな笑みを浮かべる。  「奥様。アイリュージア様。お帰りなさいませ。」 と、廊下の奥から年老いたメイドが、数人のメイド達を連れてやって来た。  どこか厳格の漂う女性だ。  「メリア。ただいま。サヤにお土産を買ってきてあげたというのに、あの子ったら待ちきれなかったみたいね。先に寝てしまったみたい。」 と、女性は子供のように舌を少し出しておどけてみせた。  「サヤ様は、お疲れになったのでしょう。さあ、アイリュージア様。お部屋に戻られて下さい。」 と、厳格そうなメイドは言った。  このメイドは、この屋敷中にいるメイドを全てまとめているメイド頭なのだ。  「アイリュージア様。わたくしはこれで。サヤ様の様子を見てお先に休ませていただきます。」 と、セフィリアは頭を深く下げてから、サヤの部屋へと向かった。  「セフィリアはいつ見ても上品ね。サヤに仕えてもらって良かったわ。」 と、アイリュージアは微笑んだ。  「セフィリアはわたしが育てましたから。あの子ほどのメイドはいません。あの子の見習いのアンリも、直にセフィリアのようになるとわたしは思いますよ。」 と、メリアは目をほころばせて言った。  「明日やっと彼が帰ってくるわね。」 と、アイリュージアは言うと、さっさと廊下を歩いていく。
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