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チュンチュン。
チュンチュン。
窓の外から聞こえる小鳥の鳴き声に、サヤは目を覚ました。
窓が開いている。
窓から入ってくる風が、白いレースのカーテンをなびかせ。
朝の香りが鼻孔をくすぐる。
涼しい風が、部屋の中を駆け巡る中。
「セフィリアったら。わたし、この赤いワンピースがいいと前から言っていたのに。」
と、お金持ちのお嬢様特有の不平を漏らす。
「失礼いたします。サヤ様。お目覚めになられましたか。」
と、ちょうどサヤが口をへの字に曲げていた時に、セフィリアが入ってきた。
「セフィリアちゃん?これは、違うわよね?何かの間違いじゃなくて?」
と、サヤは意地悪い笑みを浮かべながら聞いた。
「サヤ様。間違いではありません。この白いワンピースをお召しになるよう、旦那様からの言付けでございます。」
と、セフィリアはにっこりと微笑んで答えた。
「お父様が!?」
と、サヤは目を大きく開けて聞いた。
「はい。スコット様から、一週間前に。サヤ様がこの服を着るときに、お話しなさいと申されていましたから、何も話さずにいました。」
と、こちらも意地悪く笑って見せた。
「くぅ~!セフィリアちゃん!その笑顔は、わたしだけのものですのよ!」
と、甲高い声でサヤは怒る。
「申し訳ございません。」
と、セフィリアはにっこりと微笑んで謝った。
サヤはその場で地団太を踏む。
「まあまあ。朝から元気なこと。」
と、女性の声が聞こえた。
サヤはビクッとして、声のした方に目を向ける。
いつのまにか、サヤに似ている女性が立っていた。
「お…お母様!」
と、サヤがオロオロとした様子で、その場を歩き始める。
「まあ。この子ったら。はしたないわよ。」
と、女性は優しく言うと、ドレスの裾を持ち上げサヤの方へと歩いていく。
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