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「その格好で寝たら、風邪引くよ…。拭いてあげるから、頭、上げて。」
振り返ると、小百合がタオルを片手に、立っていた。
ほら、オカンだ。
俺は、反抗するわけでもなく、小百合に頭を預けた。
人に頭を触られるのは、結構気持ちいい。
「ほら、また頭、下がった。上げて。」
小百合が、頭を持ち上げ優しく拭いてくれる。
「ふぅ~♪」
思わず言葉が漏れる。
「フフっ♪やっぱ犬みたいねっ。」
「そうかぁ~?」
犬みたいか…最近、よく言われるなぁ~。
秋田犬か?
柴犬か?
いや、まさかホワイトの…。
「違う、違う。子犬みたいってことっ。」
くっ!!こいつ、読心術も使えるのか…やるな…さすがは、オカン。
まぁ、小百合くらい綺麗なら、オカンもありだな…。
「…全部、声に出てる…///」
小百合が顔を真っ赤にして、俺の顔を見ていた。
いつの間にか、後ろが終わって、前になっていたらしい。
「おぅ♪小百合みたいに綺麗なら大歓迎だっ♪」
「……綺麗って…。」
小百合は、なんだかボソボソ言ってる。
聞こえない。
…よし、寝よう。
また、頭を掴まれた。
「うん?」
振り返ると、また小百合だった。
「今から、何するか知ってる?」
小百合は、一応笑顔だ。
あくまでも一応な。
そこを理解して欲しい。
「……帰宅?」
我ながら、可愛い答えだと思う。
「今から生徒会の仕事。」
そう言って、俺の茶目っ気のある回答はスルーされ、小百合は俺の首を抱えるように持って、引きずり始めた。
一体、どこにそんな力があるんだか…。
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