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私の朝は、早い。
シャワーを浴びるせいなんだけど…。
そして、朝食もそこそこに7時には家を出る。
化粧はあまりしない。
恵まれた顔立ちだとは、思わないが別に念入りにしなきゃならない程でもない。
なので、すぐに終わる。
いってきますを言って、家を後にした。
昨日、久しぶりにクラブに行ったせいか、少しだけ足取りが重い。
そして、いつも通り電車に乗る。
私は電車が好きだ。
色々と考えを整理するのに役立つからだ。
いつもは生徒会のことを考えていたりする。
仕事が山積みの生徒会。
その効率を上げるために登校のこの時間を使っている。
でも、今日はそうもいかないなぁ~。
この前から、気になることがある。
この前、クラブ帰りに、友達に送ってもらっている最中、急にある人に会いたくなった。
そして、気付くとその人の家の前に…。
私はどこの片思いなのよッ!!
ほんとに、びっくりした。
いくら思っても、まさか、家と反対方向にあるその人の家に向かっていたなんて…。
恥ずかしくて、顔から火が出た。
出てないけど…。
家はまだ明かりがついていた。
起きてるかな?
朝、5時だけどね…。
携帯を取り出し電話する。思いの外、すぐに出てくれた。
いつもは、なかなか出ないくせに…。
「どした?」
その人は、いつも通りの優しい声で言った。
「…いや、別に…。」
特に用事もなかった。
だって、急に会いたくなったわけだし。
ホントにどこのピュア娘よ、
「なんか用事か?」
相手はそんな私を気にした様子もなく、調子は変わらない。
いや、見えないから当然なんだけどね。
「…な、何もない…。」
慌てて、切ろうとした。
私は、何してんの?
「切ろうとするな…。それと用事もないのに、人ん家の前に立つな…帰ってきて、黒髪の女が玄関に立ってたら…怖い。」
切ろうとしたのを見透かされ…
??
「よっ!!」
後ろから不意に肩を叩かれた。
「きゃっ!!」
びっくりして、振り返ると、そこにはコンビニの袋を片手に煙草を吸うその人がいた。
「びっくりするじゃないっ!!」
「いやいや、家の前に貞子がいる方がびっくりするって!!」
…そりゃ、びっくりね…。
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