副会長、の日常

3/6

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
私が何か言い返そうとすると、彼は、私の肩を抱き、家に入るよう促した。 「ちょっと…いき…」 「いいから、入れ。」 表情は少しだけ男らしかった。 中に入ると、彼の顔はいつもの表情に戻っていた。 「お前さぁ~、綺麗なんだから、気をつけろよ…。変態が寄ってくんだからさ…。」 彼は手を横に広げ、溜め息混じりに話した。 どうやら、私に変態が纏わりついていたらしい。 それを助けてくれたようだ。 「…ありがと。」 「で、どうした?男にフラレたか?それとも便秘か?」 彼は笑顔で言った。 冗談のつもりなのだろう。 そのまま、靴を脱いで、中に入る。 「違う。」 私もそれに続いて入る。 相変わらず綺麗だった。 さすが週に2~3回は、桜が来ているだけはある。 だらしない彼が、掃除だけはマメにするなんてことは絶対にない。 「なんか飲むか?」 キッチンから声がかかった。 「うん。飲む。お酒以外で。」 「わかったぁ~。」 彼は結局、オレンジジュースを持ってきた。 「で、何の用事だ?生徒会か?」 彼はソファに腰かけるなり、すぐに聞いてきた。 少し面倒くさそうな表情だ。 そんなに私は、生徒会、生徒会って言ってるのだろうか? 少しだけ淋しくなった。 「別に…なにもないし…ただ…ちょっと会いたいなって…」 最後の方は恥ずかしくて、声が小さくなった。 「なんて?最後の方が全くわからん。ちゃんと話せ。」 彼は、不機嫌な顔で言った。 なんか辛いな…。 別に迷惑かけに来たわけじゃないのに…。 「ちょっと会いたいなって、思ったから…。」 勇気を出して、はっきりと言った。 「…そんなことか…。」 彼は呆れたという風に、首を横に振った。 せっかく言ったのに、そんなことって、酷くない? こっちは、勇気を出したのにさ…。 私は、オレンジジュースをぐっと飲み干した。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加