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「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…!!」
エミィの名前はエメラルドと言います。
今は日も落ちて月明かりだけが辺りを照らす暗い森の中をエミィは息を切らしながら走っています。
体中には裂傷や擦り傷など様々な傷が刻まれていてとても痛いけど、立ち止まったらエミィにこの傷を付けた人達に捕まって殺されてしまいます。
「ハァ…ハァ…いやぁ…ハァ…お父さん…お母さん…ハァ…助けてぇ…ハァ…ハァ………」
体中の傷から血がたくさん流れて目の前が少しだけ霞んできてしまいました。
エミィは、人間ではなく竜(ドラゴン)と呼ばれる種族です。
そのため、人間はエミィ達竜を恐れて攻撃をして殺してしまうんです。
エミィ達が何もしてなくても………。
今、エミィはエミィ達竜を殺す専門家の人達に追われています。
なんとか逃げないとエミィは殺されてしまうんです。
お父さんとお母さんに会えなくなるのは嫌です。
だから一生懸命に逃げています。
でも、もうエミィは走る元気がありません。
草むらに隠れてもすぐに見つかってしまうと思います。
でも、エミィの足が絡まって草むらの中に入ってしまいました。
追っ手の人が少しずつ離れて行くみたいで今はなんとか助かりました。
ですが、それはすぐに絶望に変わってしまいます。
「君は誰?そんなに怪我してるけど……。もしかして、竜なの?」
「……ひっ!?あ、あぁ……。いや、殺さないでください……!!助けてください………」
エミィは神様にお祈りしました。
まだ死にたくない、と。
でも、目の前にいる男の子はエミィに向かって歩いてきます。
「痛いよね……。恐いよね……。僕が君の事を助けてあげる。じっとしてて、すぐに終わらせるから」
その男の子はとっても優しい笑顔をエミィに向けて、体をギュッとしてくれました。
ですが、エミィはキラリと鋭い輝きを放つ何かを目にして逃げようとした瞬間にはもうエミィの意識は闇の中に沈んでいきました………。
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