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そんな事を思いながらも僕はあえてその事を口にはしない。
だって、言ってしまったら最後、今日が命日になってしまう可能性があるんだもの言えるはずがないでしょ。
「あ……。そ、そういえば秦羅君って昨日初めて竜を討伐したんだよね」
「えっ、何でその事を知って―――」
そこまで言って僕は真相に気付いてしまった。
眞奈は僕の家のすぐ近所だから僕の家の近くを通る可能性は高い。
即ち、学校に来るにあたって家の人達がそういった話をしていれば眞奈も当然その話を知ることになるだろうね。
多分、眞奈は僕の仮説通りに話を聞いて知ってるんだと思う。
「うん、まぁそうだね。でも誇らしい事とは思ってないよ。一つの命を僕自身の手で奪い取っちゃったんだから………」
「あ……、ごめんなさい。そうだよね。秦羅君は昔からそういうの嫌いだったよね………」
「ううん、良いよ。それでも救われる人が少しでもいればそれで、ね」
僕はそう言って眞奈を心配させないように無理矢理笑顔を作る。
だけど眞奈は、何か言いたそうに口を開いたそのタイミングで貴道が眞奈のスカートを大きくめくってしまった。
しかも、大きくめくり上げたせいで僕にまで眞奈の身に着けている下着が見えちゃったんだよね。
僕等はお互いに顔を真っ赤に染まってほぼ同時に貴道を睨み付けると―――。
「何やってんだよ貴道の馬鹿野郎ーーー!!!!」
「秦羅君の前なのに……、九条君のエッチーーー!!!!」
「ぐぼらはっ!!!?」
まさか貴道は眞奈からもグーで殴られるなんて思っても見なかっただろうね。
僕もまさかあの眞奈がグーで貴道を殴るなんて思いもしなかったもん。
あれ?そういえば遙はどうしたんだろう。
そう思った僕はすぐさま辺りを見回したら遙が教室の隅っこで縛られて動けない状態になってることに気付いた。
それにしても貴道の奴、どうやって遙を縛り付けたんだろう………。
ご丁寧に声出せないように布を口にくわえさせてるし。
別の意味で尊敬に値するかもね。
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