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「おぅ、歩」
「――ん?」
この声は。
ラブレターをくわえたまま振り返る。
「おぅ…。智也」
「相変わらずモテるね。今日は何通入ってたの?」
そう言って俺の靴箱を覗き込む智也。
「あれ?くわえてる一通のみ?珍し。歩人気も落ちてきたな」
「うるせー。たまにはこういう日もあるのー」
「へ~。てか、俺達今からからマクド寄って帰るんだけど、歩も来ない?」
「……わりぃ、俺今から告白されに行くから?無理ぷ」
「なんだよ、最近付き合い悪いな。なぁ?紗穂」
智也の隣りには紗穂の姿。
あ…。
手繋いでる。
当たり前か、カップルだからね。
「あっくんはモテるから仕方ないよ」
「なんだよ、それ俺がモテねぇみたいじゃん。俺だって紗穂と付き合う前はすごかったんだぜ?」
「ど~だかぁ~」
………。
「…はいは~い!二人ともいちゃつかな~い。俺もう行かなくちゃ、じゃね」
左手を少しあげて少しずつ後退りする。
「おう、じゃあまたな!」
「あっくんまたね~」
だんだん遠ざかる智也と紗穂の後ろ姿。
うん…。
お似合い。
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