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「歩君~、実習でカップケーキ作ったの。食べる?」
「え~!私も歩君に作ったし~!どうぞ」
「おぅ。有難う」
「私も私も!私のはレーズン入りなの」
「お、おう。有難う」
教室の入口から俺の席までわずか数メートル。
その僅かな距離の間で、カップケーキが両手いっぱいに集まった。
のぉーー。
モテる男も辛いよね。
こんなにどうやって食うんだ?
後から智也におすそ分けしてこよーと。
うん。そうしよ。
「あっくん。相変わらず…すごいね」
両手のカップケーキに気付いて、紗穂が呆れ顔で声をかけてきた。
「――まぁね。紗穂も食べる?一人じゃ食べ切れないし」
「ううん。実は私もあっくんの分、一応作ったんだよね、どうしよ…」
「マジ?!てか一応ってなんだよ。おっ!チョコ入りじゃん!」
「うん、あっくんチョコ好きだからチョコ入りにしたの」
「丁度チョコ食いたかったんだよね~、サンキュー」
そう言いながら、チョコ入りのカップケーキだけその場で食べてそのまま席に着いた。
ちょっと焦げてるけど、なんか特別な味がした。
「うふふ。あっくんチョコ大好きなんだね」
まぁ、そう事にしとくわ。
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