レモン男子

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  宮内と名乗った男は、すごく幼く見えた。体は細いし、顔は童顔、服装は一応スーツだがネクタイもヨレヨレで、所々にシワが見えた。   宮内「あぁ森川さんですね。私この度前担当の谷口からこの地区を引き継ぎ担当することになった宮内です。早速ですが、浄水器の調子はどうですか?」   静は何の話かわからなかったが、直ぐに思い出した。今の家に引っ越してから一週間後くらいに、谷口と名乗る50歳半ばくらいの男が訪れて、水道浄水器を薦めてきた。実際に都内の水は不味く、ミネラルウォーターを買うよりは安く済むだろう、と取り付けてもらったのだ。   しかし、月に一度点検があると谷口は言っていたが、それ以来一度も来なかった。静は内気だったし、特に不自由なかったので、気にも止めなかった。  
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