厄介な彼

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「えー、ここはχ=2を代入して…。」 今日の1限は数学。 周りの人は暇そうに黒板を見ている。 奈津帆もその1人だった。 いつもより、静かなクラス。 きっと、あいつがいないからだ。 ガララララ 「おはー。」 眠気を吹き飛ばす声。 寝ていた人もその声をしたほうを見て楽しそうに笑う。 「おせーぞ。」 「キャハハハ、おはー。」 ムードメーカー的な彼が来たとたん、クラスのテンション上昇。 ついていけないのが1人。 「住川。いいから早く座りなさい。」 「あ、先生もおはー。」 「あーはいはい。わかったから早く座れ。」 「ちぇっ。つめてーなもげちゃんは」 もげちゃん=数学の先生。頭がもげてきているから。 来たヤツが ヤツこそムードメーカーであり、あたしのお向かいに住んでる住川 祐矢。本人である。 あたしは運悪く今、祐クンと席が前後になってしまっている。 勿論、膨大なる被害があたしに及んでいる。 祐クンは堂々と机の間を歩き、こちらに来た。
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