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「遅かったね…。寝坊?」
「んあ?ああ、誰かさんが起こしにこねーから。」
「え?あ…あたしのせい!?」
「大柴、うるさいぞ。」
もげちゃんの喝が入る。
「あ、すいません…。」
なぜ、あたしだけ。
祐クンは顔を隠し、声を殺しながら笑っている。
「祐クンのせいで怒られた~。しかも、起こす約束なんてしてないよ。」
「は~?お前、バカじゃねーの。俺が遅刻しそうな時は起こしに来るのが当たり前だろーが。」
祐クンは胸の前で手を組んで、うんうんと頷いている。
「そんなの無理に決まってるじゃんか~!エスパーか変態じゃなきゃ無理だし~!」
「なら、エスパーを身に付けろや。向かいに住んでいるのが変態つーのは引くわ。」
「確かに変態はイヤだけど。あたしには無理だよ~。」
「ああ?あれだよ。人間死ぬ気になればなんでもできる。な?」
同意を求めるような祐クンの言葉は理不尽極まりない。
「もぉ―――!!祐クン、無理なことばっか言わないでよ!そうだよ、祐クンは我儘すぎ……」
「お~お~し~ば~。」
「あ…。」
気づいた時には、最高に遅かった。
目の前の祐クンはもう声を殺すことはせずゲラゲラと笑っている。
背後では先生。通称もげちゃんがお怒りの呻き声を出していた。
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