厄介な彼

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「おい。」 「何さ。」 吹奏楽の音や野球部の雄叫びが静かな教室に小さく響く。 家もクラスの席も前な祐クンがこっちを向いていた。 2人だけの教室。だけど、こんなこと前に何回もあった。 前も前も そのまた前も、祐クンの犠牲者になってプリントや居残りをさせられた。 「怒ってんの?」 「そんなことない。」 ぶっきらぼうに答えると、祐クンはあたしに聞こえるくらい大きく舌打ちをして…。 「かわいくねー。」 「元からかわいくないもん。」 「反抗すんのもかわいくねー。もっとさ、中川さんみたいに女の子っぽくならないわけ?世も……何だっけ?」 中川さんっていうのはクラスのマドンナ的な人。 祐クンを好きな女の子の1人。 「世も末だから…。中川さんはあれだよ。え~、そう恋する乙女だからだよ。」 「へ~。中川さんにも好きな人いたんだな。」 「興味あったんだ。」 「別に。『知りたかった』だけ。」 でた、祐クンの厄介な性格が。
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