始まり

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男に誘われるままに 手を引かれ着いていく 「俺、ちょっとトイレ行ってくるから待ってて」 「分かった」 ここのトイレから 出口までは 結構距離がある 今ならまだ 逃げてしまえる だけどアタシには 逃げる理由もないし 着いて行った方が 朝になってから 学校に行く身支度も出来る 「帰るの?」 さっきまで カウンターに居た新米DJだ 「…うん、まぁ」 「さっきの男とどっか行くんだろ?」 「…」 「気をつけろって言ったばっかだろーが」 「別に危なくないし…」 「ばか。こういう所はなぁ…」 彼は何故だか アタシに説教をしてきた 訳が分からないし 初対面の奴に 怒られる意味が 分からない 「あのさぁ…もう良い?」 「お前ちゃんと聞いてなかっただろ?」 「まぁ、それじゃ帰るね」 さっきの男は まだトイレから 出てきてなかったけど コイツの意味不明な 説教なんて 聞いていたくない カウンターに置いたままの バッグを手にして この場を去ろうとした
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