4/6
前へ
/6ページ
次へ
  「おはよ!」 「おはよう」   いつも以上に嬉しそうに、彼女は僕に駆け寄ってきた。 そんな彼女に微笑みを返して、手を繋いで歩いていく。 そう、いつものように。     公園に着いたのは、昼を少し過ぎたくらいだった。 彼女が腕を振るって作ってきてくれた弁当を二人で食べながら、僕のこの感情はどんどんと抑えがたくなっていった。 しかし、そんなことは微塵も感じさせないように、いつものように振る舞った。   「このあと、どうするの?」   突然の彼女の言葉に、少し戸惑ったが   「じゃあさ、買い物行こうよ」   そう言って、彼女の手を引き、そのまま強引に買い物へと連れ出した。 少し不機嫌そうにふくれる彼女が、またたまらなく愛しくて。 だから、壊したくて。   夜が更け始めて、買い物を終えた僕らは、また公園に戻ってきていた。 此処は夜は人通りがなく、二人きりになるには丁度良すぎるくらいだった あの感情が一層強く僕を襲う。   ─早く ──ねぇ 早く     「今日は楽しかったね」 「あぁ」   理性を必死に働かせて感情を抑えていた僕には、最早生返事しか出来なかった。   ─壊したい 僕の この手で   何気なく辺りに誰も居ないことを確認したあと、優しく、それでいて強く彼女を抱き締めた。   ただただ 彼女が愛しくて 愛しくて   「どうしたの?急に」   あの時のように照れながら彼女は言う。 だが、あの時のように彼女は逃げようとはしなかった。   彼女にはこの後、何が起こるかなど予想もつかないだろう    
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加