3434人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ……はい、ネム」
斗真はネムに向けていた右手をゆっくりと広げる。
その手の中には淡い海のような青色のミサンガがあった。
「……綺麗……」
「気に入った?」
斗真は優しくそう聞くとネムは何度も頷いた。
「良かった……」
斗真は胸を撫で下ろす。そして眠そうに欠伸をする。
「少し……疲れたな……僕はもう眠るよ……お…やす…み」
斗真は体をフラフラさせながらポツリポツリとそう言い終わると後ろに倒れこんだ。
「斗真!?」
ネムは倒れた事に驚いてすぐに斗真のそばに近寄る。だがそんな心配も杞憂(きゆう)に終わった。
「…スー……スー……」
斗真の口からは規則正しい寝息(ねいき)が聞こえてくる。その音を聞いて今度はネムが胸を撫で下ろす。
「……良かった……」
ネムはそう呟くと斗真の手の中にあるミサンガを静かに抜き取ると自分の左手につける。
数分間、嬉しそうに見ていたネムであったがこちらも眠そうに欠伸をした。
「……寝よ……」
ネムは斗真と同じように後ろに倒れこむとそのまま目を瞑った。
数秒後ネムの口から可愛らしい寝息が聞こえ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!