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数分でコーヒーが作れると斗真はそれをおじさんの下へと持って行った。
台所から出るとおじさんが椅子に座って新聞を食い入るように見ていた。さっきまで眠そうにしていた人とは思えないぐらいだ。
「はい、おじさん」
斗真はおじさんの目の前のテーブルにコーヒーを置く。
それを見たおじさんは置いてくれたコーヒーカップの取っ手の部分を持ってゆっくりとコーヒーを口に運ぶ。
「う~ん、この味とも当分おさらばか……」
おじさんは肩を落としてそう呟く。余程この味が好きだったのだろう。
「そんな大袈裟な」
斗真は苦笑しながらおじさんに向かって言う。
「はぁ、斗真が女性だったら今すぐにでもプロポーズを「何だってあんた!!」……へ?」
台所の入り口から半端の無い殺気が出ているのを感じる。おじさんはまるで錆び付いたロボットのようにそちらに顔を向ける。
「あんた……私というものがありながら……」
そこにはあたり一面に怒気振り撒くをおばさんが立っていた。
身の安全のためと斗真はキッチンに戻って行った。
……その数秒後おじさんの悲痛な叫びが家中に響いた事は言うまでもない……
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