救世主は村人

村人、友と別れる

有り得ない。まず魔物が人間に懐く事じたいがこの世ではめったに無い事だがこれは全く持って不自然である。人型ならまだしも蛇型。それに自称神の使い。この事はこの世界の常識に反している。

何故なら【救魔戦争】以来、人型はともかく獣型の魔物達はなるべく人と触れ合は無いようにした。理由はとても簡単。

獣だから。

人型ならまだ良い。少し時間がかかるが人の言葉を学ぶ事が出来る。それだけの知能を覚えれる脳があるのだ。

だが獣型は違う。どんなに時間がかかっても人の言葉が分かるのは極少数。その中で人の言葉を話せるとなると絶対に不可能だ。話せるように声帯が発達していないのだから。なら紙に書けばいいでは無いかと思うかも知れないがそれも中々難しい。そこまで知能が発達しているのは極めて稀である。

なので獣型が何か自分の気持ちを人間に伝える事は殆ど叩いたり叫んだり等の行動で表すしか無い訳だが、人は自分と違う生き物を見ると少なからずとも恐れを覚える。

それはどんなに小さく可愛らしい生き物でも警戒はする。それは本能からで、しょうがない事である。

ならば自分より強い生き物が急に叩いたり叫んだりしたらどうする。きっとその生き物から逃げるか、恐れから殺すかのニ択だろう。