3434人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしそれは人間だけでは無く獣、人型の魔物も同じである。
なので現在では魔物は人間と、人間は魔物となるべく関わらないようにしている。
だがこの‘ミカヅキ’と呼ばれたこの[ラジュマラ]と斗真との間に見た限りでは恐れや不安等が一切無い。どちらも気の合う友達のように接していた。
「でも……‘ミカヅキ’とこんな事が出来るのも今日が最後か……」
斗真がポツリとそんな事を呟く。ミカヅキはそれを聞いて不思議そうに首を傾げて斗真を見つめる。
「あ、そうだ実はね―――」
斗真はミカヅキに自分が今日、学園に行く事を伝える。ミカヅキは最後まで聞き終わると首をブンブン振って斗真の服の袖を軽く噛む。行かないでと言うサインだろう。
「ごめんねミカヅキ。でも、もう決まっちゃった事だから無理なんだよ……」
悲痛な声で斗真は話す。やはり斗真もミカヅキと離れるのがとても辛そうだ。ミカヅキは顔をうつむかせシュンとすると袖を離した。
「ごめんね…本当にごめんね……」
涙を目に溜めながら斗真は最後の別れのようにミカヅキの頭をそっと撫でてやる。そして手に持っていた料理をミカヅキの目の前に置く。
最初のコメントを投稿しよう!