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「ふぁ~ んなもんわかるかよ」
あくび混じりの声でそう言って、読んでいたであろう古びた本を大口を開いた革のリュックサックに投げ入れる少年
髪は、あちらこちらに向かってツンと張っており、綺麗な赤色をしている。
少年の少しきつめの目は、見事に茶色の瞳で、少しボロボロになった茶色のジャケットを羽織り、土埃がついて元の白さを失ったジーンズに結構使い込まれた茶色のレザーアーム、背中には黒い鞘に収まった剣
といった風貌で大きな木にもたれ掛かっていた。
「失っちまった記憶の手掛かりにならねえかと思って読んでは見たが……」
少年は、少し体をおこし、その場に座った。
「サッパリだぜ……あぁ、駄目だな俺には本なんて合わねえぜ」
一つの結論に達した少年は、そう言ってその場に立ち上がり、埃を軽くはらった。
「さてと」
少年が、腕を伸ばしそう呟くと、背中の剣に右手を掛けた。
シャキンと聞き慣れた音を立て、黒い鞘から姿を現したそれは、紅蓮の剣であった。
赤い、宝石の様なコアの中には、炎の様な輝きが映り、刃先は見事に真っ赤な光沢を放っていた。
少年が、一度それを地面に降ろすと、ズドンと軽く地面を揺らした。
少年の持つ剣は、ファグニアルと言って、片手剣のわりには重い剣だった
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