始まりの炎

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普通の剣で、この大木に挑もうものならば、直ぐに刃こぼれするか、酷い場合は剣が折れて使い物にならなくなる。 少年の行ったあの先程の動作と元々重く良質な素材で作られた剣だからこそ成し得る事の出来る修行である。 言うなれば、一時的に剣の強度を飛躍的に上昇させ、強度はおろか、切れ味までも鋭くした訳だ。 しかし、それは少年の集中が続いていると言うことが前提で、疲れてくれば集中が途切れ、力が弱まり、先程の様に弾かれてしまう この森に住んでから毎日のように少年はこれを続けてきた そのお陰で、体力も集中力も並の人間とは比べ物に成らない程ついた。 少年は、剣を背中の鞘に収めると、リュックサックの側にあった水筒を取り、ふたを空けて中の水を喉に流し込んだ。 「くぅ~! うまいぜ」 少年は、満足気な顔でそう言うと、手で額の汗を拭い、水筒を腰にくくりつけた。 「さて、そろそろかえ―」 ドォォォン 少年が言いかけたその時、近くの方で、爆発音が鳴り響いた。 「な!? なんだってんだ」 慌てて少年はリュックサックを背負うと、音のした方へと走り出した。
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