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奴がまたチャージをしている隙に、少年は素早く少女の手を握り、走り出した。
「ここにいたらあぶねえ! あんた走れるか? 全力で逃げるぞ」
少女は、小さく頷くと、二人は不気味な雄叫びと、光線を休むことなく連発してくるノデゴンスライムから逃げた。
(この人の手……温かい)
少女は、そんな事を思いながら、少年と走った。
(あの人たちと同じ人種のようだけど……何か全然違う……何でだろ)
少女が研究所の事を振り返りながら走っていると、更にグイッと少年に手を引かれた。
「ペースが落ちてる! 追いつかれちまうぞ!」
少女の走る速度がさっきより明らかに遅くなっていた。
そこはやはり男と女の差であるが、少年にはそれが分からないのだ。
「一旦茂みに隠れるぞ!」
少年は、そう言うと、尚も少女の手を引いて、近くの茂みに飛び込んだ。
ちょうど奴からは死角となる茂みに、少年と少女は逃げ込んだ。
「はぁ……はぁ……ったくなんだってんだよ」
息を切らしながら、少年がぼやく
「あの……手」
少女が頬を紅く染めて小さく言った。
「ん? あ、ああわりぃ」
少年は、直ぐ様少女の手を離し、はにかんだ。
茂みの外では、奴の雄叫びがまだ聞こえる。
このままではらちが明かないと踏んだ少年は、行動に出た。
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