~オープニング~

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ミシッ 少女を入れたカプセルのガラス部分に小さな亀裂(きれつ)が入った。 その亀裂は、あっという間に音を立てて、ガラス全体に広がっていき、ちょうど亀裂がガラス全体を走り終えると ガシャアアアン 耳障りな音と共に、激しく辺りに散乱した。 カプセルの中の水は、一気に床を水浸しにすると、少女を地に降ろした。 初めて地に降りたであろう少女は、ぎこちない動きでカプセルから出ると、傍にあった白いシーツを剥ぎ取り、それを身にまとった。 突如、部屋は赤い光で染められ、やかましいサイレンが鳴り響く 【緊急事態発生! 緊急事態発生! 207号室にて異常あり】 無機質な機械によるアナウンスが始まる 少女は、白いシーツをまとったまま、虚ろな瞳で、ゆっくりと部屋を出た。 【207号室にて異常あ……】 繰り返しアナウンスが流れた瞬間、突如アナウンスが切れた。 赤い光で染められていた廊下も、一瞬で暗闇へと変貌した。 「……うるさいなぁ」 少女は、小さく呟くと、真っ暗な廊下を素足のまま歩き出し…… 「ひゃん!」 シーツを足に引っ掛けたらしく、バランスを崩し、派手に転倒した。
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