~オープニング~

5/9
前へ
/968ページ
次へ
スルスル シュッシュッ 暗闇に響く衣服と肌が擦れる音 「あ……これは違う」 全然見えてないせいか、ズボンに手を通してみてようやくそれが、ズボンである事に気付いたようだ。 しばらく見えない衣服と奮闘した末、少女は手探りだけで衣服を着終わっていた。 次に少女は迷うことなく机にたどり着くと、引き出しを開け、中にある何かを取りだしホルスターを腰に巻いてそれを収めた。 更に、壁にかかっていた何かを外すと、それもしっかりと背中に固定した。 暗闇の中で準備を済ませた少女は、部屋を出た。 途端(とたん)に少女の視界が明るくなる 長時間の暗闇からの突然の開放に目が追い付かず、少女は反射的に顔を手で覆った。 「いたぞ! こっちだ」 先程の二人とは更に別の声の男が、少女の姿を確認すると、そう叫んだ。 着替えに手間取ったせいか、研究所に予想以上の早さで電気が戻った。 同時に、少女の姿もハッキリと映し出されてしまった訳だ。 シーツで拭く事をしなかったせいか、綺麗なブロンドの髪は乱れ、頬からは水が滴り、白いシャツは濡れてしまって下手をすれば胸が透けそうな程 青いジーンズも心なしか湿って見える。 背中には、赤い宝石の様な刃のついた槍、腰には、黒光りする銃がきちんとホルスターに収まっている
/968ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1279人が本棚に入れています
本棚に追加