~オープニング~

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少女の頬を涙が伝う、表情は崩れず、しかし虚ろな瞳からは確かに涙が流れていた。 「化け物め! 死ねえぇえぇ!」 無惨に散乱した男たちの亡骸(なきがら)の中、最後に残された男が剣を構え、少女に突っ込む ガキィイン 少女の槍による一撃が、男の剣を下から捉え、刃先の大半を空中に分断した。 そして、それはなんとも皮肉な事に、反動でのけ反った剣の主の胸を見事に捉えた。 「私は……」 誰もいなくなった廊下を少女は、既に乾き始めたブロンドの髪を揺らしながら歩いて行った。 「私は……誰?」 未だ頬を伝って止まない涙を床に、ポタポタと流し、自身に問う 「これは……この感情は……何?」 先程から胸に込み上げてくる胸を締め付けるような感情の答えを誰もいない空間に訊ねながら少女は、研究所を去った。 あの時聞こえた声の言うエレメントと言うものを探しに ただ、それだけを考え、少女は、止まらない涙を手で拭い、走り出すと、漆黒の闇へ溶け込んで見えなくなった。
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