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「Truck number0120、左対空戦闘前部VLS1から20番発射用意・・・てぇっ!!」
島田副長の命令が飛びコンマ数秒後、防水被膜を突き破ってSM-3は天高く舞い上がった。
1秒間隔で合計20発を発射し、さらに「ちょうかい」から10発が発射された。50マイル離れた「あたご」「きりしま」からも同じく合計30発のSM-3が発射された。
30発のノドンに実に60発のSM-3が群がった。
「インターセプト5秒前・・・スタンバイ・・・はいマークインターセプトー!!」
「ノーズコーン投射!」
「弾ちゃーーーく、今!!」
レーダースクリーンに映っていた30発のノドンのブリップが次々に消えた。
「ト・・・Truck number0130Kill、全弾撃墜を確認!!」
その瞬間艦内で歓声が沸き上がった。艦橋に居る者は空を見上げ、CICに居る者は中央の1番大きなスクリーンを一斉に振り返った。
「目標の消失を確認。撃ち方止め。」
副長はやや微笑み撃ち方止めを命じた。
阿部はCICの中に居ながらも空を見上げ、いい意味で予想を裏切った戦果に感謝していた。
「本艦隊は現海域を遊弋し警戒を続行する。両舷前進原速に減速。引き続き各見張りを厳となせ。」
乗員達は安堵の表情を浮かべていたが、阿部と島田副長は違った。
都合のいい推測は判断を誤る元、阿部と副長は常に最悪の場合を想定して行動した。
数時間後、中央より通達があった。これは決して喜べる内容ではなかった。
〝中国海軍、尖閣諸島周辺まで進出、上陸準備中の可能性あり。北朝鮮、韓国への進軍を開始、詳細情報は不明。〟
「今更何を求めるんでしょうか・・・?」
「中国は資源だ、北朝鮮は・・・何か裏があるんだろう、分からんがな」
日本海にたたずむ2隻はただそれを受け入れるしかなかった。
航跡2:終
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