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「…何か御用ですか?」
風花は微笑んでいる青年を訝しんだものの、努めて冷静に尋ねた。
(いきなり斬り付けて来られたらめんどくさいし…。)
・・まぁ、こんな理由で。
しかし、口調は柔らかい感じだが、表情に至ってはいかにも嫌そうな風だった。
「そんな嫌そうな顔、しないで下さいよ。」
青年は苦笑しながらやんわりと言った。
「…はぁ…?」
しかし風花の表情は一向に変わらない。
寧ろ、ますます険しくなったくらいだ。
そんな彼女を見て、青年はいきなり何かを思い出したように『ぶふっ』と盛大に吹き出した。
風花と青年の後ろにいた男は当然、口をポカンと開け、ア然とする。
「オイ?」
「す、すみません土方さん…っ。ちょっと思い出し笑いをしちゃって…。」
青年の後ろにいた土方がハァハァと苦しそうに腹を抱える青年に語りかける。
その様子に、思わず風花も二人に近寄っていった。
「だ、大丈夫ですか?」
「え、えぇ。すみません大丈夫です…ぶはっ。」
とか言いつつ、また笑い出す始末。
仕方がないので、風花と土方は彼の笑いが治まるまで待つことにしたのだった。
そして数分後ー・・・
「アハハ!すみません、お待たせしましたぁ。」
ようやく彼の笑いが治まり、話が進めていく状態になった。
まず、話を切り出したのは風花。
「で?あなた方は、私に何の御用で…?」
すると青年は何ら楽しそうに話し始めた。
「先程の対浪士戦を拝見させて頂いたんです。あなた、とてもお強いんですね!私も思わず、魅入ってしまいましたよぉ!いとも簡単に浪士三人を倒すんですから!」
「…それはどうも。」
「それでですねぇ…」
青年はそこまで一気に喋ると、ピッと人差し指を立てる。
「あなた、壬生浪士組に入りませんか」
「…・・はっ!?」
(壬生浪士組…って今 壬生浪っていったか!?)
風花は軽く、混乱状態。
そして青年は、ふ、と微笑むとこう名乗った。
「私の名は沖田 総司です。
壬生浪士組の副長助勤を務め
ています。」
それは嵐の予感。
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