第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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佐々木アパート前 キュキュキュ! 「おい、着いたぞ。生きてっか?」 「……ぜー……ぜー……生き……とるがな………」 何回か死ぬかとおもった……。 コイツ所々信号を軽く無視しがったよ。 オマケにオレのヘルメに何回か車のミラーが擦るし……滅茶苦茶じゃねーか! 「お前………いつか死ぬぞ……」 「別にいいや。死んだら死んだで。親父より先に母さんに会うだけだしな~。」 ………今さらっと重い話聞いてしまった気がする…… もしかしてお母さん亡くされた? あー、なんか謝らないといけない衝動に…… 「あ~いや、スマン。なんか聞いちゃいかん事聞いちまって。」 「いや、別に謝られるような事話してないし。」 銀崎が口元を釣り上げて返してくる。 お前………案外良い奴なんだな。 「それにお前に謝られるとなんか気味悪い。とっとと帰れ。」 前言撤回。死に腐らせコノヤロウ。  「あー悪かったな。お望みどおりとっとと帰ってやるわ!」 全くもって腹が立つ奴だぜ。 俺はビニール袋を手に下げ、俺のアパートに歩きだした。 すると急に、 「おい、ちょっと聞いていいか?」 なんて事を言ってきた。 「あ?」 「お前さ、この後どーすんだ?」 あまりに突拍子もないことを言い出しやがった。 「お前には関係ねぇ。」 「いいじゃねぇの。送ってやったんだしそんくらいいいだろ。」 ………なんなんだ?コイツは。 まぁ、話して疾しいことじゃねぇし。文字通りそんくらいは教えてやらぁ。 「集会だよ。チームの。てめぇらで言うチームじゃねぇ、族のさ。」 「ふーん。」 おーーい!!! 聞いといてなんだその態度はよ!!! 「あーイライラする!! てめぇも早く失せろ!!」 「楽しいか?」  予想外の返答に振り向いてしまった俺。 銀崎がさっきまでとは打って変わって真剣な眼差しで問い掛けてくる。 「なんだと………?」 「楽しいのか? 節介手に入れたスピードの切符、わざわざ目立つか群れて意気がる為に使う事が。」 俺は迂濶にもすぐに応えられなかった。
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