第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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本当は…………糞詰まらねぇ。 正直、総長から誘われた時からもわもわした気持ちが表れてたし。 だが…… 「ああ、楽しいぞ。これ以上無いくらいにな。」 素直に答えるのは癪だった。 「そっか。あばよ。」 「待ちな。」 そそくさとヘルメットを被りだした銀崎を止めた。 「なんだ? まだ何か用か?」 「お前に取り敢えず伝えときたい事がある。」 不信そうに眉をしかめる銀崎。 だけどお前にこれだけは言っときたかったんだよ。 「お前………… 背中血だらけだぞ?」 「あああ!?やっぱりか畜生!!道理でさっきから背中がヒリヒリするわけだ!!」 だってお前の単車の後ろに乗ってる間ずっとお前の背中に触れないようにしてたもんよ。 「あ、だけどよ。」 「あ?」 「お前も背中血だらけ。」 「なぁぁにぃぃぃぃ!!?」 道理で背中(以下省略)。 いったいいつこんな事に!? 「やべぇし、早く帰って治療と洗濯せねば。あばよ。」 フォォォォン!!! 「あ…………!ちょっと待………」 行っちまった…………。 なんか、辺りが暗くなった中にポツンと取り残されるって…… 「すっげー惨め…………」 いつまでもこんなトコにつったってても空しいし、さっさと集会行くか。 「……………無い………」 俺のXJRが…………無い。 いつもの駐輪場に停めておいた俺のXJRがない、ナイ、無い、亡い!! はっ、もしや……… 「姉貴まだ帰ってない………?」 俺の、とかほざいてしまったが実は姉貴の仕事用なのであって……… 「どうしようか…………」 結局………… 「だはははは!リューイチー!単車ねぇなんざ間抜け………」 「黙れこの野郎。振り落とすぞ。」 ダチのダッセェ族仕様のスーフォアに乗る羽目に。恥ずかしい事この上ねぇぞ。
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