第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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何を後悔してるかって? すべてさ。今まで築いてきたモン全部ぶっ壊せるもんなら壊したい。 そんな懺悔にも似た後悔心をある音が邪魔した。 ボォォォォ………… 「おい、リューイチ!見てみろよあの単車!」 後ろのバカはいつの間にテンションが元のハイポテンシャルに戻ったのか、背中をバンバン叩いてきやがった。 くそが……さっき発覚した謎の大量の擦り傷の上をバンバン叩きやがって……こんにゃくで頭強打して死ね。 仕方なくバカが指差した方に目を向ける。 ………なんだ?あれは。 まるで近未来みたいなフォルム。しかも白銀色に塗られた………カウルって奴か?カウルが一層際立たせる。 そしてサイドカウルに街灯に照らされくっきりと見える『KAWASAKI』の文字。 「あれは………」 「おい!あらぁカワサキのZZRだぞ!?知らねぇのか!?」 思い出した。カワサキのフラッグシップ。超高速巡航が可能なツアラーであり、メガスポーツ。 総長のガレージにあった雑誌に載ってた奴を見た事がある。 しかも何より乗ってる奴が半端なく小柄だ。足着いてんのか? 「へっ生意気な!一見中学生に見えるがあんな化けモン乗りこなせるような年には見えねーぜ!!」 いや、俺たちも高校生なんだが? ただ、あのライダーはどこかでみたような………… 丁度俺たちが止まってる所へ並ぶように停止しているZZR。そのライダーが不意にこっちを向いた。 ………???。いきなりなんなんだ?  そのライダーが前傾姿勢から一転、体を起こしヘルメットのシールドを上げ………… 「あ!!!!」 あの髪に隠れた右目!ぱっちり開いた愛嬌ある左目!  なによりこっちを向くなり、手を振ってきた事で確信に繋がった。 佐藤隆太………なぜこんな所へ? と、隆太がいきなりハンドルを構えてアクセルを煽る。 ブォォン!!ブォォン!! もしかして………シグナルGPか!? 「へ!所詮、中坊なんちゃって走り屋の意気がりだろーが!リューイチ、軽くちぎるか後ろから煽っ………」 「舌噛みたくなかったらだまれ。今から俺ぁ、真剣モードだからよ。」 もしかするとこのバカはZZR400と勘違いしている可能性がある事を視野に入れ、注意を促す。 おもしれぇ。直線だったら勝ち目は無いがこの先は道なりにクネクネした峠だ。やってやるよ!!
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