第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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暫く直線が続いたが、この直線で抜かれると思っていたのに未だに並ぶ様子もない。 「野郎………様子見、てことか!」 「おい!リューイチ!飛ばしすぎだって!そこまでしなくていいだろうがよ!」 エンジンの爆音しか聞こえないはずなのに後ろのバカのハイテンションな怒声が伝わってくる。 ライトで照らされた道路が右にカーブを描きだす。 それに合わせ俺もバイクをバンクさせる。 「オイリューイチ!こんなスピードじゃ曲がれねぇよぉ!!」 「心配すんなって!コケやしねーよ!」 緩やかなカーブを俺のど根性で無理矢理バイクをひん曲げる。 初めての体験だった。一歩間違えれば地面とディープキスしかねないのに胸の高鳴りがスピードが上がるにつれて跳ね上がる、そんな感じが。 「………ヒャッホォォォ!!!気持ちいいぜぇぇぇ!!!」 気付けば俺自身でさえビックリする位の叫びを放ってた。 更に次の………コーナーが迫る。 「オイ大西ぃぃ!振り落とされたくなかったら死ぬ気で捕まっとけぇぇ!!」 「ヒィィィィィ!下ろしてくれぇぇ!!」 次のコーナーに差し掛かった時、 「あっやべ!スピード出しすぎた!」 流石にこんなスピードじゃオーバーランしてしまう。 俺は直感でフルブレーキ、そのままの勢いである程度急になったコーナーをフルバンクで駆け昇る。ちゃんとしたハンドルじゃないからきちんと握れないのがもどかしい!! コーナーの出口が見えた時には既にアクセルを捻っていた。 「あっそう言えば隆太!」 あまりに熱中していて完全に忘れていた隆太。 ふとミラーを見た時、一瞬ドキッとした。 「ま、まったく離れてない!?」 あり得ねぇ!俺は今まで2つ3つコーナーを抜けたがどれも自分さえ驚くほど迅く抜けていったはず。 なのに…… 「畜生!! まったく差が開いてないってどういう事だよ!!」 先程から全く同じ距離を追ってくる隆太のZZR。 少し恐怖感が沸いてしまった。
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