第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡隆太と龍一がバトルしていた頃… 「おっせぇな。何してんだ隆太の奴ぁ。めんどくせぇ。」 さっき西本と買った缶コーヒーは蒸し暑い夏の残暑にやられぬるくなっちまった。 めんどくせぇが一応補足するとここは俺達行き付けの『心裏峠』。正確な名称は忘れたがこう呼ばれる由来になったのはまんまこの峠の性格にあるんだ。 有り得ない事に一般道にも関わらずコークスクリューや360°コーナーが平然と並ぶまさに心理の裏をつく峠だ。 初めてここに来た奴はまずその道のトリッキーさにビビる。 俺達が小休憩してるのはまだ中腹。ここに来るまでにもいくつトリックコーナーがあった事か。 「まぁいいじゃないか。ここの眺めは悪くないし、な?」 「けっ! 俺が風景眺めて和むようなキャラか?」 「……………ないな、確かに。」 いや、否定しといてあれだが持ちかけた方もどうかと思うんだが?何だよ、その間は。 ただ、西本の言うとおり山自体が高いからか中腹でもある程度町を眼下に見渡せる。景色はなかなかだと思うぜ。 「そこまで退屈なら一走りして来いよ。」 「………やっぱめんどくせぇわ。」 別に隆太来てからでもいいし。 そのまま談笑していた所、 ボォォォ……… 「あ、あのR34は………」 「『フィールオブ日産』の頭さんだよ。」 西本が珍しそうにR34を眺める。 ああ、そうか。西本は俺とあんまり心裏峠に来たことないからか。しかも西本は二輪より四輪に興味持ってる方だったな。 「多分知らなかっただろうがここの峠はクルマとバイクが協力して使ってんだ。俺達が指定時間使わせてもらう代わりにめんどくせぇがアイツらが使う時は俺達が麓で他車が入らないようにバリケードしてんだ。向こうも同じ。」 「はぁ~、そうだったのか……」 まぁ、西本はどちらかというとオフロード派のDトラッカー男だしな。あんまオンロードは興味なさそうだし。
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