第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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なんて本人の噂していると…… ボォォォ……キッ! ウィィン 「よぉ!何処の単車小僧かと思えばタカ高のヤンキー坊主か!ダッハッハッハッハ!!」 目の前に止まったスカイラインGT-Rのウィンドウが下りて中から豪快な笑い声が響いてきた。 まぁ、見ての通り何分威勢の良いお方で。相手してるとこっちが疲れるめんどくせぇ奴。 「ばんわ。今日はうちらが先っすか?黒羽さん。」 この口髭を蓄えたお兄さんは黒羽俊平(クロハ シュンヘイ)。 日産、それもGT-R一筋7年の25歳。この間まではR32だったな。 この人は例え俺達みたいなバイク陣でも分け隔てなく接してくれるなかなか人のいい方だ。 先程言った通り走り屋チーム『フィールオブ日産』のリーダーだ。 「おう、好きなだけ使え!こっちの端は俺のR34と『エマニエル夫人』のS15でバリケードしてやるからな!」 「あざっす。では遠慮なく使いますぜ。」 因みに色々と情報を仕入れてくるのもこの人が大半だ。ありがてぇぜ。 「所でな、高山。麓に複数台バイクが来てたんだが………」 早速情報を仕入れてくれたぜ。 「もしかして挑戦者っすか?」 「多分そうだろうな。ただな、雰囲気が違う。普通の奴とはな。」 雰囲気………もしかしてめんどくせぇ連中(集団型)じゃねぇだろうな? 「奴らは『アクロバティック』と名乗ってたぞ。」 「アクロバティックだと!?」 西本が驚くのも無理はねぇ。 俺の予想は半分当たって半分外れたようなもんだ。連中はまともな走り屋チームじゃねぇ。 走り屋を名乗ってそれっぽい単車転がしてはいるが集団型とよく行動を共にしたり、一般車に散々迷惑かけたりしやがる俺達にとってありがたくない連中だ。 あんまり出張はしないと聞いていたが何しに来たんだ? 「そいつらは今どうしてますか?」 「多分俺の仲間が足止めしてるかもしれんがもう来るんじゃないか?……ほら、噂をすればな。」 バァァァァン!ババァァァァン! 下から昇ってきたバイクの集団。全て灰色っぽい服装&車体色のせいで目に自信がない俺は認識しずらい。が、 「やはり……アクロバティックのステッカー貼ってある。」 目がいい西本が改めて確認した。マジィな。アイツら何をするか分かったもんじゃねぇ。
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