第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

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ある一ヶ所に人集りができてやがる。さっき見掛けた灰色に塗られた単車群もそこに集結していた。 ボチボチ歩きながら近づくと次第に話し声が聞こえてくる。 『………おい、アクロバティックが殴りこみに来たってよ……』 『なんでも、この峠の覇者と張らせろとかほざいてるらしいぜ……』 『マジかよ……だけどよ、アクロバティックもたまに腕があるやつが紛れてるって噂だろ……?』 『しかも今来てる奴らは全体の1000分の1位なんだろ?あんな連中が一斉に来たら対応出来ねーぞ。』 『せめて“コーナーリング職人”の連中さえ来てくれれば………』 様々な連中が後ろへ流れて行く間に色んな情報が耳に入る。 一応一番心配してた乱闘騒ぎにはなっていないみたいだ。アクロ(以下省略)の連中ならあり得る事態だと出張組の奴らから聞いていたからな。 人集りの中心へ向かって行くと何やら数人が険悪な雰囲気を醸し出している。 そういえばヘルメット取ってなかったな。今更バイクの元に行くのもめんどくせぇし、万が一の事態(ケンカ騒ぎ)に備えてかぶったまま様子をみようか。 「おい!いつになったらこの峠の最速ライダーくるんだ?えぇ?」灰色のツナギ着た奴がいきりたっている。多分アクロの内の一人だろう。 「何回言ったらわかる?彼らも暇を持て余すほど時間があるわけじゃない。今日は来ないかもしれないんだ。」 対応するこちらサイドの内一人が呆れたように静かに話すダンディー。 彼はこの峠の常連のホーネット乗り。名前は聞いてないから勝手にダンディーと呼んでるがなかなか仲間想いのいい人で愛車のホーネット250はすっげぇ派手だ。 「おい、支部長。こんな三下じゃ話しにならねぇよ。もっと話の分かる奴呼べよ。」 またもやアクロサイドの奴。コイツは俺と同じくヘルメかぶったまま交渉に乗じてる。多分ケンカ慣れしてやがる。それにしても腹立つ奴だな。 「ふざけるんじゃないわよ。先にケンカ売っといてなんだその態度は!」 さらに反論するこちらサイドの女はゼファー750の緑髪。 俺達の1つ年上の先輩らしいが名前も含め詳細不明。ただ分かるのは目立つ緑髪(て俺は呼んでる)と面倒見がいい性格だけだ。だからか皆から信頼されてる姉貴的存在だ。 だからか、奴らの侮辱に散々頭に来てるみたいだな。 ………わかるぜその気持ち。俺もなんだかイライラしてきた。
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