第一章前編 落ちこぼれと生徒会長と金髪お下げと

57/129
前へ
/252ページ
次へ
いい加減俺の堪忍袋も耐久力残り1割切った時、誰かが俺達を見て騒ぎだした。 「おい!あれ…『アスファルトダンサー』じゃねぇか!?」 「マジだ!『森神の神隠し』もいるぞ!ついてるぜ俺達よぉ!」 …………いちいち騒ぎたてやがって。めんどくせぇじゃねぇか。 騒ぎを聞き、言い争ってた連中がこっちに注目する羽目に。 「おお、お前達来てたのか!」 「何よ~、来てたなら挨拶くらいしなさいよまったくぅ。」 「………西本。果てしなく面倒事に巻き込まれる予感がするのは気のせいだろーか。」 「お前………今頃気付いたのか?」 だってアクロの連中がいる時点でコレから先何が起こるかわかってたけど認めたくなかったんだもん。 「お前達の力を借りたい。連中はこちらの面子を相手に『スイッチバックリレー』したいと言ってきやがった。」 スイッチバックリレー…………ね。要するに折り返しで交代するリレーレースの事だ。なんだってまたそんな面倒な方式で…… 「6人用意しろっていうけどこっちはいくら呼び掛けても皆アクロバティックの名に縮み上がって名乗り出ようとしないの。そんで向こうが『この峠は腰抜けばかりだな』てのたまいやがったからカッと来てああなってたのよ。」 緑髪が悔しそうにアクロの連中を睨み付ける。 その気持ちは分からなくはない。 「そこでだ、お前達にレースの頭数に入ってほしいんだ。頼めないか?」 ダンディーが少し困った顔して頼む。 協力したいのは山々だが少し疑問が残る。 「僕たち入れて4人だけなんですか?」 その疑問を西本が代弁してくれた。確かに後2人いないと相手が示した条件に合わない。 「ああ、さっき言った通り皆萎縮しちまってる。更に酷な話だが例え勇気持って立候補してくれても俺達のレベルに並んでない。くしくも戦力外かもしれん。」 これを聞いた周りの連中が顔を見合せ、「すまねぇ…」やら「情けない…」やら呟きバツの悪そうな顔をしていた。 「ううん。貴方達がいけないんじゃないの。今回は相手が悪すぎたわ。君達も他に戦力になる人心当たりないかしら?」 う~ん。先輩方は色々忙しいらしいし、俺の学校外の知り合いに今連絡取れる奴はあんまりいない。 「西本、お前は?」 「俺の知り合いには4つ足の方が速い奴らばかりだ。」 まいったな、こりゃ何から何までめんどくせぇぞ。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加