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「まったくよ~、姉貴もあんだけいい顔といいπもってんのにあの破天荒さですべて台無しだよな~。あの裸族め。」
実際、このアパートに着たときには姉貴は既に服どころか下着さえ着てなかった。
小学生までなら気にしなかったが中学生からは流石に気になりだした。しかし、それでも服を着ようとしない。
だが、高校に行かせてもらえてるのも姉貴のお陰だから最近はあまり指摘しなくなった。
よって毎日姉貴を見るたびに鼻血が出そうになるのを堪えてきたわけだ。
ガララ!
部屋の引き戸を開けると置いてある俺のベッドの布団が盛り上がっていることに気付く。
布団の端からちょこんと顔を出してスヤスヤ寝ているのは俺の可愛い妹の愛だ。
ああ~和む~。いいね寝顔。寝てないのに俺が一番無防備になる瞬間だぜ!
ただ、このままじゃ俺が寝れない。だから起こすべきだろう。ほんと、断腸の思いだけど。
「愛、愛。自分のベッドで寝な、」
軽く揺すって目を開ける愛。
「ああ、お兄ちゃん遅かったね。愛心配したよ。」
くそ~。俺ってやつぁなんてことを…笑顔の花を枯れさせるようなことをしちまったんだ!
「ゴメンな。バイトがのびちまったんだ。」
くう、嘘がキツいぜ。
「そうだったんだ。よかった。ちゃんと帰ってきてくれて。」
ニコッ
ぐはぁぁぁぁ!なんつう破壊力だ!この笑顔のタメならバイト先のオヤジの野次や姉貴の暴言も耐えられるぜ!今すぐ抱き締めてやりたい!なに?シスコン?言いたい奴は言えばいいさ!てめーらこんないい妹もてない故の嫉妬なんだろ?バーカバーカ!ざまぁ!
「ねぇ、今日一緒に寝ていい?」
聞きました?奥さん。大胆にも3つ歳のはなれた兄にこんな事を。
「おお、いいぜ。」
「やったー!久しぶりだ~!」
俺が腕枕してやると直ぐに嬉しそうな顔して眠りにつく我が妹。
そしてその表情を見て幸せに包まれながら俺も夢の世界で旅立った。
「二人して甘ったれだな。全く。」
引き戸の隙間から覗きながら呆れながら苦笑する姉貴のつぶやきはその時の俺には既に聞こえなかった。
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