プロローグ アイツとオレの初めての出会い。

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母さんの形見ってのは今オレの実家に置いてある訳ありのGSX―R1000だ。因みに母さんは丁度1年前に亡くなった。だから形見だろ? オヤジ曰く、「乗ったら1分であの世行き」だそうだ。 「この後どうする?亮介。」 「今日はバイトがあるからあまり時間は取れないな。朝見先輩んとこに寄ってそっから一走りして帰ろうかと。」 「じゃあ僕も一緒に行っていいかな?」 「そんなん聞かなくても来ていいに決まってんだろ。朝見先輩ん所の工房で待っててな。」 一通り話し、オレ達はそれぞれ違う電車に乗って帰路につく。 正直、冷静を保とうとしていたが内心ウキウキしてしょうがない。なんてったって、 「待ちに待った大型……サイコーだな。」 なんだから。 そういやオレの家庭環境について説明してなかったな。電車がつくまでのついでに振り返ってみる。 オレの家族構成はオヤジと母さんとオレの3人暮らし『だった』 さっき話した通り母さんは亡くなった。丁度一年前の今日だったかな。だけど当時、いや遥か昔から親が二人とも共働きで家に帰らない日が多かった。だから葬式のとき泣けなかった。当時からのオレの性格もあるし、何より母さんとの思い出が泣けるほど多くなかったからかもしれない。
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